こどもの頃は、学校には1学期、2学期、3学期という区切りがあり、それを一周するたびに1つ学年が上がる、そして卒業を迎え次の段階の学生へ… という明確なレベルアップイベントがあった。1年間という箱の中には季節ごとの記憶やその時のクラスメイトとの思い出というたくさんの要素が詰まっていた。
けれど、社会人になってからはなんだか似たような箱が並び、箱の中もスカスカだ。スカスカな箱であっという間に、生まれてから社会人になるまでのあの濃密な時間と同じだけの時間が経過してしまう。
…と、30歳になる頃まで、そう感じていた。
30代で結婚し、こどもが生まれたことで、こどもの1年が自分の1年の一部になった。しばらくは箱の中身も、こどもの成長とともに迎える季節ごとの記憶やその時のこどもとの思い出が詰まることになりそうだ。
これまで30数個並べてきた箱の横に新たに並ぶこどもの小さな箱。これからまた、小さな箱がひとつ、またひとつと増えるたびに自分自身がこどもだった頃の箱に入った思い出や経験を追体験していくことになるんだろうな。これってすごいことだな。
人生100年時代といろんなところでよく聞くようになったけど、どうやら100個もの箱が並ぶ時代がやってきたらしい。後で振り返った時、一つ一つの箱がちゃんと個性的な中身を持っているよう、様々なことを考え、実行し、いろんな思い出を作って、1つ歳を重ねるということを自他共に認めるレベルアップイベントだと言えるようにしていかなくてはなるまい、と思った次第である。